生活習慣病とは
食事や運動、喫煙、飲酒などの生活習慣が深く関与し、それによって発症するとされる疾患の総称です。主に、高血圧や糖尿病、脂質異常症、狭心症・心筋梗塞、脳卒中、高尿酸血症などの疾患が生活習慣病に当てはまります。
以前は「成人病」と呼ばれていましたが、若い方の患者数が増加しているのと、生活習慣との関係性が判明されるようになったことで、1997年頃から「生活習慣病」と改称されました。
生活習慣病を発症すると動脈硬化の進行リスクが高くなるため、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞などのような、動脈硬化によってリスクが高まる疾患にも罹りやすくなります。
高血圧
塩分の過剰摂取や運動不足、ストレスの多い生活、飲酒、喫煙、遺伝などが引き金となって発症するのではないかと考えられています。高血圧の状態が長期間続くと、血管への負担が大きくなり、血管の柔軟性が下がってしまいます。この血管が硬くなった状態を「動脈硬化」といいます。動脈硬化を引き起こすと狭心症・心筋梗塞や脳梗塞などの発症リスクが高くなるため、家庭用の血圧計で定期的に血圧をチェックするよう心がけましょう。
収縮期血圧(最大血圧)が135mmHgを超えた場合は、放置せずに当院の内科へ受診してください。
脂質異常症
血液中の悪玉(LDL)コレステロールと中性脂肪が、正常値よりも高くなる、あるいは善玉(HDL)コレステロールが正常値より低い状態の疾患です。余分な脂質が動脈の壁に沈着すると血管が狭くなり、動脈硬化を発症させてしまいます、主に、カロリーの高い食事、運動不足、肥満、過剰飲酒、喫煙、遺伝などによって発症します。逆にHDLコレステロールは、細胞や血管の内にたまった余分なコレステロールを回収し、肝臓へ戻す役割を担っています。
糖尿病
血糖値(血中に含まれるブドウ糖の濃度)が、基準値よりも高い状態が続く疾患です。人間の身体には多数の細胞が集まっています。これらの細胞を動かすには、ブドウ糖が必要です。そして膵臓から分泌されるホルモンである「インスリン」は、血中にあるブドウ糖を細胞の中へ取り込む働きをしています。
糖尿病になるとインスリンの分泌量が足りなくなる(もしくは機能が低下する)と、ブドウ糖を細胞内へうまく取り込めず血中に葡萄糖が溢れてしまいます。
細胞内にブドウ糖が行き届かないので、全身の細胞の活動も下がりやすくなるため、多尿や喉の渇き、疲れやすさ、感染症の発症リスク上昇、集中力の低下、傷が治りにくくなると言った症状が引き起こされます。
治療を行わずに高血糖状態が続くと毛細血管が傷つきやすくなり、糖尿病腎症や糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害といった3大合併症の発症リスクも高まります。
痛風、高尿酸血症
高尿酸血症とは、血液中に含まれる尿酸が基準値を超えてしまう疾患です。
痛風とは、血液中の余剰な尿酸が関節内で尿酸ナトリウム結晶となって留まることで、炎症を引き起こしてしまう関節炎です。体内のプリン体合成・分解の亢進と、プリン体の多い食品・アルコール・果糖の過剰摂取、遺伝的要因などが関わり合うことで高尿酸血症を発症します。
痛風発作は特に、足の親指の付け根(第1中足趾節関節)に起こりやすく、痛風の50~70%はここに起こるとされています。また、高尿酸血症でも、痛風発作が現れない方もいらっしゃいます。
しかし、高尿酸血症が続くと、慢性腎臓病の発症・進行リスクが高くなります。プリン体の多い食品やお酒は摂りすぎないように気を付け、運動する習慣を身に付けるよう心がけましょう。
脂肪肝
肝臓に中性脂肪が溜まり肝障害を起こす疾患です。検診を受けた方の約4人に1人が脂肪肝だと報告されています。昔は軽い疾患だと思われてきましたが、近年では肝硬変や肝臓がんへ進行するリスクもあると指摘されるようになりました。
また、あらゆる生活習慣病の発症リスクも上昇させることも判明されています。
飲酒の習慣がないのにもかかわらず発症する「非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)」の場合、肝硬変や肝細胞がんのリスクは高まるとされています。
治療は、他の生活習慣病と同じように、食習慣や運動の習慣を改善しながら、メタボリックシンドロームの解消と肝障害の進行予防を同時に行います。生活習慣の改善を続けても肝機能障害が改善されない場合は、薬物治療を検討します。
メタボリックシンドローム
内臓脂肪型肥満だけでなく、血圧・血糖・血清脂質のうちの2項目以上が、基準値を超えている状態です。ウエストが大きい内臓脂肪型の肥満の方は、高血圧や耐糖能異常、脂質異常症なども併発している可能性も高いです。
メタボリックシンドロームの診断基準
内臓脂肪型肥満:ウエスト周囲径
(立った状態で、軽く息を吐いた状態の腹囲をヘソの高さで測定します)
- 男性:≧85cm
- 女性:≧90cm
上記だけでなく、下記の中でも2項目以上に該当している
- 中性脂肪が150mg/dL以上(かつ/または)HDLコレステロール血症が40mg/dL未満
- 収縮期(最大)血圧が130mmHg以上(かつ/または)拡張期(最小)血圧が85mmHg以上
- 空腹時の血糖値が110mg/dL以上
なお、血糖値と血圧、血清脂質などの数値に問題がなくても、他の危険因子が複数あると動脈硬化の進行リスクと心臓病・脳卒中の発症リスクは高くなります。
生活習慣病の治療なら当院までご相談ください
当院は「地域のかかりつけ医」として、近隣にお住まいの方の生活習慣病の治療に対応しています。健康診断の結果で分からないことがありましたら、遠慮せずに当院へご相談ください。重篤な疾患を発症させないよう、今から生活習慣を改善していきましょう。
食事療法と運動療法を中心に実施していますが、必要に応じて薬物療法を行うこともあります。